普通 ⑴
途端に鼓膜を刺激する 、猿のように甲高い母親の叫び声 。


『今日もか』 なんて内心溜息を吐きながらもゆっくりとリビングへ脚を進める 。




扉を横に滑らせる 。




肌を掠めるペン 、割れる鏡 。全てがいつも通りだ 。



母親が何か言っていたが 、僕の耳には入らなかった 。




冷蔵庫の扉を開けると 、やはり何も無い 。


否 、ある 。これもいつも通りだ 。




納豆を手に取ると 、ふりかけと共に机へ置く 。



茶碗に白米をよそると 、箸を持って席に着く 。
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