転生令嬢は小食王子のお食事係
 ゆえに、白羽の矢が立ったのが前王妃様の妹であるジュリアンナ様だった。
 その結果生まれたのがレオナール王子だ。
 そして、現在この国は王位継承者問題で揺れている。
 国王はまだ王位を継承する王太子を指名していない。だから、ふたりの王子は今だにどちらも〝王子〟なのだ。
 体は弱いが聡明で国政に強いメルヴィン第一王子。
 体が丈夫で王国軍でも頭角を現しているレオナール第二王子。
 なかなか甲乙つけがたい状態で、臣下もどちらを推すか迷っているのだ。
 しかもふたりとも独身の上、婚約者は未定。一応候補くらいはいるだろうが、決まった婚約者はまだいない。
 現在、国王は健在でまだお若いので、この先二十年は安泰だろうが、安定しているうちに次の王を決め置かないと、万が一があったときに国の動乱は避けられない。
 国政に関わる人ならばみんなそう思っているはずだ。
 そのため、いろいろな人が思惑を持って水面下で動いていることは容易に想像できる。旗色を窺い、自分の立場を明言するのを避けながら、大人たちは様子を見ているのだ。
< 158 / 215 >

この作品をシェア

pagetop