転生令嬢は小食王子のお食事係
そんな中、聞こえてきた〝第一王子派〟の言葉にドキリとしないわけがない。
実家のフリートウッド家は権力闘争といったことに関わり合いたくない一族であるため、中立を保ってきた。貴族であるという体面さえ保てて、家族が生活できるのであれば、出世もそこそこでいいという考えだ。
そんな家で育った私でも〝第一王子派〟という言葉にはびっくりする。
〝お父様〟と〝旦那様〟が誰かはわからないが『何かあればこちらで手を回す』と言うからには、その人が〝第一王子派〟としてすでに活動している人物であることは間違いない。
ただ、問題はそこではない。
第二王子の住む王子宮に〝第一王子派〟とつながっている使用人がいるということだ。
「あのメイドはスパイだと、王子にお知らせしたほうがいいんでしょうか」
私は小さく呟く。
すると――。
「もう知ってる」
ごく至近距離で聞こえた返事に、私はばっと後ろを振り返る。
実家のフリートウッド家は権力闘争といったことに関わり合いたくない一族であるため、中立を保ってきた。貴族であるという体面さえ保てて、家族が生活できるのであれば、出世もそこそこでいいという考えだ。
そんな家で育った私でも〝第一王子派〟という言葉にはびっくりする。
〝お父様〟と〝旦那様〟が誰かはわからないが『何かあればこちらで手を回す』と言うからには、その人が〝第一王子派〟としてすでに活動している人物であることは間違いない。
ただ、問題はそこではない。
第二王子の住む王子宮に〝第一王子派〟とつながっている使用人がいるということだ。
「あのメイドはスパイだと、王子にお知らせしたほうがいいんでしょうか」
私は小さく呟く。
すると――。
「もう知ってる」
ごく至近距離で聞こえた返事に、私はばっと後ろを振り返る。