転生令嬢は小食王子のお食事係
「おぅっ――!?」
「ちょ、静かに……!」
「んー!!」
 思わず叫びそうになった私の口を、手が塞ぐ。
「……大きな声を出すなよ」
 彼の言葉に私はわかったと言うようにこくこくと頷く。
 すると私の口を覆っていた手が離れた。
「なぜ、ここにいるのですか、レオナール殿下」
 私の目の前にいるのは、ずっと不在にしていると思っていたレオナール第二王子。まさかこんなところで遭遇するとは予想もしなかった。
「なぜって、きみが来る前にいたんだよね。この上に」
 そう言って、レオナール殿下は上を指さす。
 見上げると、そこには木陰を作ってくれている木。
「え、もしかして木の上にいたのですか?」
 なんでレオナール殿下がそんな場所に……?
 私は不思議で目を瞬かせる。
< 160 / 215 >

この作品をシェア

pagetop