転生令嬢は小食王子のお食事係
 ひとついいアイデアが思い浮かんだ。
「――では、交換条件ではいかがでしょう?」
「……交換条件だと?」
「はい。私は何も聞いてなかったことにします。なので、レオナール殿下は私が王妃殿下から頼まれた食事の改善をお願いします」
「それは僕が払う負担のほうが大きくないかい?」
「そうですか? 食事をとっていただくだけですけど?」
 私がそう言うと、レオナール殿下は少し嫌そうに顔をしかめた。
 そんなに食事をとるのが嫌なのだろうか?
 王国軍の寮では食事をとっていると聞いているけど、それ以外は食べたくないのか、それとも小食すぎて食べられないのか。
「ひとまずちょっとお茶でもしませんか? ちょうどひとりでピクニックをしていたところなんです」
 私は先ほどびっくりして芝生の上にぶちまけてしまったティーカップを拾い上げる。ナプキンで拭いて、新しいお茶を淹れるのと一緒に、もしテオと会ったら使うかもと思い持ってきたもうひとつのカップにもお茶を注いで、レオナール殿下に差し出した。
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