転生令嬢は小食王子のお食事係
 だんだんひと口が大きくなっていくところをみると、口に合ったらしい。
 その様子に私はホッとする。
 そして、レオナール殿下は私が食べ終えるより先に完食する。
「あのもうひとつ、食べます……? スコーンもありますけど……」
 テオも見当たらないし、私も全部は食べきれない。
「では、もらおうかな」
 そう言って、レオナール殿下はもうひとつのカルツォーネを手に取った。
「きみも半分食べるかい?」
「いえ、全部食べてしまって大丈夫ですよ」
「そうか。じゃあいただくね」
 殿下は半分に割ってから片方ずつ食べ始める。
 ……よっぽどお腹が空いてたのかな……?
 食べてくれる分には嬉しい。王妃様からの依頼も思いがけず達成しているし。
 でも、なんかあっさり食べてくれたことに肩透かし感がある。
 小食とか偏食なのかなと思ったけど、そんなこともなさげ……?
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