転生令嬢は小食王子のお食事係

「お菓子っ！」
　私の言葉にエマは途端に目を輝かせた。その変わりっぷりが潔くて私は小さく笑う。
「まずはサンドイッチからですね。王妃宮の料理長がたくさんパンをくれたので、それを使っていきましょう」
　パンがたくさんあるからというのも、サンドイッチを作る理由でもある。
　なぜか今日に限ってエマは大量のパンを持ってきた。昨日の午後の空いた時間、エマは王妃宮の厨房に行っていたらしく、そこで料理長にピザの話をしたらしい。
　エマは『いっぱいパンをもらいました！』と朝から笑っていたが、私が予想するにピザの話に触発されてたくさんのパンを焼いたのではないかと思う。
　意外と負けず嫌いだからなぁ、料理長……。
　そのおかげで今日は少し楽ができる。
　こちらの世界には便利な調理家電もないからすべてが手作業。だから、料理を作るのにも結構手間がかかるのだ。
「では、今日もエマにはマヨネーズをお願いしようかしら」
「了解です！」