転生令嬢は小食王子のお食事係
「まっさか伯爵令嬢が料理上手だとはね。厨房で会ったときは驚いたもんですよ」
　テオの言葉に僕は苦笑する。
〝第一王子派〟から送り込まれたメイドの動向を探っていたとき、たまたま居合わせたアイリーン嬢をどうせなら利用しようと思った。
　友好を示すため、彼女が持参したカルツォーネというパンを食べたが、自分でも予想もしない展開になってしまった。
　彼女の作る料理がおいしすぎたのだ。
　カルツォーネを食べたときはまさか彼女自身があれを作っているとは思わなかった。腕のいいお抱えの料理人がいるのだと思っていたが、テオにも探らせて本人が作っていることがわかった。
　一度食べたら忘れられないおいしさ。
　カルツォーネは初めて食べたが、二種類のどちらともおいしかった。
　材料を聞けば、特に特別なものは使っていないのに、だ。
　外側がパリッとしているから中も同じ食感かと思いきや、反してもっちりとした弾力の生地でとても食べ応えがあった。
　そして、一番の驚きは離れを訪ねていったときに振る舞われたスープ。
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