転生令嬢は小食王子のお食事係
 兄上の婚約者がいない以上、先に僕の婚約が整えば、〝第二王子派〟を勢いづかせてしまう。
 そう、僕は兄上のメルヴィン王子を次の王にしたいと思っている。
 兄は確かに体は弱いが、誰よりも聡明であり、統率力も持ち合わせている。
 健康だけが取り柄のような僕が、それを押しのけて国王になるなんてあり得ないと思っている。
 だから政治に関わらないよう、王国軍に入ったというのに、それはかえって軍よりの貴族を調子づかせている現状だ。
 一方、僕がいろいろと手を回し、内情を探っている〝第一王子派〟。彼らは兄上を国王にすることによって、自分たちが大きな利益を得るように操ろうとしている。
 もちろん聡明な兄上がそれに気づかないわけがない。
 その上であえて、僕を国王にするために、そのことを容認しているのだ。
 僕を王にしたい兄上と、兄上を王にしたい僕。
 お互いが真の〝第一王子派〟であり〝第二王子派〟であるのだ。
 ややこしい構図をどうにかするため、僕は陰ながら動いている。
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