転生令嬢は小食王子のお食事係
 まずは兄上についている〝第一王子派〟の貴族の裏を掴み、追い落とす。ただ、これは大事にしてしまうと、兄上を推している派閥を削ることになり、僕を推す第二王子派を増長させることになる。
 だから慎重にやらねばならない。
 ――ここに来てフリートウッド家の娘というイレギュラーを手中にしたことが吉と出るか凶と出るか……。
「まーた難しいこと考えてるんですね。眉間に皺よってますよ~」
 考え込んでいることをテオが指摘する。眉間の皺は余計なお世話だ。
「ほら、アイリーン嬢は疲れたときには甘いものがいいって言ってましたし、ウィスキーケーキどうですか? めっちゃうまそうですよ」
「……それはお前が食べたいだけだろ」
「はは、バレましたか。めっちゃ食べたいっす!」
 欲望に正直なテオに、僕は毒気が抜かれたように肩を落とす。
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