転生令嬢は小食王子のお食事係
 食べる様子を窺うと、とてもおいしそうに食べているので、私はホッと胸を撫で下ろした。
 私が作ったのではなく、用意したと思われながらお茶は進む。
 お茶は交流を深める場でもあるけれど、情報交換の場でもある。王妃宮ではこのお茶の時間がとても重要だ。
 王妃様の女官たちはそれぞれ貴族の令嬢だ。それぞれの後ろには、親兄弟、一族、領地がある。
 そこからもたらされる情報を王妃様に提供し、さらに王妃様からの情報をもらうというやりとりがある。
 それは噂話程度のものから、国を動かす重大なものまで様々だ。
 女だからと政治と何も関わりがないと思われたら大間違い。むしろ裏で男性たちを上手く誘導するのが良い貴族女性なのである。
 今日も一見おだやかなおしゃべりに見えて、いろいろな情報が飛び交う中、ある女官が王妃様に言った。
「そういえばレオナール王子は軍でますますご活躍のようですわね」
 その言葉に王妃様は微笑みを浮かべ答えた。
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