転生令嬢は小食王子のお食事係
だから、結婚してから無理してまで務める必要性を感じていないはずだ。
それにその場合は、どちらかと言うと現代の王妃様よりも、次代の王妃様の方に召し上げられる可能性の方が高い。女官を指名するのは王妃本人の採択によるから、次の王妃様が私を指名するのかはわからないけど、もしも万が一そうなったら、務める宮も変わる。
今の王妃宮で働く使用人である料理長とエマは、そこにはいない。
まあ、次の王妃様の派閥にもよるから可能性の話ではあるのではあるけれど……。
ただ今はそんなことより――。
「料理したい~! 好きなもの食べたーい!」
思いのほか、料理ができないことがストレスになっている。それに「あ、今これが食べたい!」と思ったものを料理できないことが地味に辛かった。
想像してしまうと口がその味を待機してしまうっていうか……。
舌の記憶というのは思いのほか鮮明で、前世のこととはいえしっかりと覚えている。
だからこそ、食べたいと思った料理を食べられないことがもどかしい。
たしかにこちらの世界では材料や道具がなく作れない料理もある。そういうものは理由があるから諦めもつくけれど、材料も道具も揃っていて、あと料理さえできれば食べられる場合はどうしても未練が残ってしまう。
実家で料理ができる環境を手に入れ、この王妃宮でもそう多くない頻度だが料理ができていたことに甘えていたのかもしれない。
――いっそ貴族令嬢なんかやめて料理人に……。
そんな考えが頭をよぎるけど、慌てて頭を振る。
それにその場合は、どちらかと言うと現代の王妃様よりも、次代の王妃様の方に召し上げられる可能性の方が高い。女官を指名するのは王妃本人の採択によるから、次の王妃様が私を指名するのかはわからないけど、もしも万が一そうなったら、務める宮も変わる。
今の王妃宮で働く使用人である料理長とエマは、そこにはいない。
まあ、次の王妃様の派閥にもよるから可能性の話ではあるのではあるけれど……。
ただ今はそんなことより――。
「料理したい~! 好きなもの食べたーい!」
思いのほか、料理ができないことがストレスになっている。それに「あ、今これが食べたい!」と思ったものを料理できないことが地味に辛かった。
想像してしまうと口がその味を待機してしまうっていうか……。
舌の記憶というのは思いのほか鮮明で、前世のこととはいえしっかりと覚えている。
だからこそ、食べたいと思った料理を食べられないことがもどかしい。
たしかにこちらの世界では材料や道具がなく作れない料理もある。そういうものは理由があるから諦めもつくけれど、材料も道具も揃っていて、あと料理さえできれば食べられる場合はどうしても未練が残ってしまう。
実家で料理ができる環境を手に入れ、この王妃宮でもそう多くない頻度だが料理ができていたことに甘えていたのかもしれない。
――いっそ貴族令嬢なんかやめて料理人に……。
そんな考えが頭をよぎるけど、慌てて頭を振る。