転生令嬢は小食王子のお食事係
不安な気持ちが顔に出ていたのか、王妃様がふっと苦笑した。
「そんなお顔をなさらなくても大丈夫よ。……といっても急な呼び出しだから不安に思うのも無理はないわ。本題を言ってしまえば、あなたにお仕事を頼みたいの」
「お仕事、ですか?」
私はきょとんとした顔で王妃様の言葉を繰り返す。王妃様の女官としての仕事は、基本的に女官長が振り分けてくれるので、王妃様から直接なにかを頼まれることはほとんどない。
それなのに、王妃様が直接仕事を頼みたいというのはどういうことなんだろうか。
「ええ、あなただから頼みたいと思ったの。料理を作れるあなただからこそね」
「え!?」
料理!?
王妃様の言葉に私はぎょっとする。驚く私をそのままに王妃様は続ける。
「あれから料理長からいろいろとお話を聞いたのですよ。最近になって少しずつ料理の味がよくなっていると感じていたのはアイリーンのおかげだと彼は言っていました」
「料理長が……!」
「料理をしていることは令嬢として褒められた行いではありませんが、今回はだからこそお願いしたいと思ったのです」
そこで一度言葉を切ると、王妃様は真剣な目で私を見つめる。
「アイリーン、私の息子の女官になってもらえませんか?」
まさかのお願いに私はただただびっくりした。
「……王妃様のご子息というのは第二王子のことですよね……? 王子殿下に女官というのは……」
男性王族に女官がつくことはあまりない。まったくないわけではないけれど、たいていは侍従で事足りるからだ。
「そんなお顔をなさらなくても大丈夫よ。……といっても急な呼び出しだから不安に思うのも無理はないわ。本題を言ってしまえば、あなたにお仕事を頼みたいの」
「お仕事、ですか?」
私はきょとんとした顔で王妃様の言葉を繰り返す。王妃様の女官としての仕事は、基本的に女官長が振り分けてくれるので、王妃様から直接なにかを頼まれることはほとんどない。
それなのに、王妃様が直接仕事を頼みたいというのはどういうことなんだろうか。
「ええ、あなただから頼みたいと思ったの。料理を作れるあなただからこそね」
「え!?」
料理!?
王妃様の言葉に私はぎょっとする。驚く私をそのままに王妃様は続ける。
「あれから料理長からいろいろとお話を聞いたのですよ。最近になって少しずつ料理の味がよくなっていると感じていたのはアイリーンのおかげだと彼は言っていました」
「料理長が……!」
「料理をしていることは令嬢として褒められた行いではありませんが、今回はだからこそお願いしたいと思ったのです」
そこで一度言葉を切ると、王妃様は真剣な目で私を見つめる。
「アイリーン、私の息子の女官になってもらえませんか?」
まさかのお願いに私はただただびっくりした。
「……王妃様のご子息というのは第二王子のことですよね……? 王子殿下に女官というのは……」
男性王族に女官がつくことはあまりない。まったくないわけではないけれど、たいていは侍従で事足りるからだ。