転生令嬢は小食王子のお食事係
 だから、食事に関しては騎士団で済ませているという。
 それはそれでいいのでは? と思うけど、王妃様は違うお考えのようだ。
「あまり食に関して頓着する子ではありませんでしたが、自分の宮で食事をとらないとは……。心配なのですよ」
 現在は、一緒に暮らしていないけれど、幼い頃は当然この王妃宮で王子殿下も育った。その時は近くで様子を見ることができただろうが、今第二王子は自身の宮を持っている。
 成人し、騎士団で自分の責務を行っているのに、今更母である王妃様があれこれ口出すのは難しいのだろう。
 だから、私を送り込んで第二王子の現状を知り、できることなら改善したいと思っているのかもしれない。
「料理人に問題があるのでしたら、こちらで手配もできますし、それ以外の要因なのであれば力になれるはずなのです。それをアイリーンに見極めてもらいたいと考えておりますの」
 王妃様は真剣な面持ちでまっすぐ私を見つめる。
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