寂しがり屋の月兎
序章
穏やかに太陽の光を浴びる学校内。
一つの教室で、少女は目の前の事象に硬直している。
机がある。彼女が普段使っている机だ。
その机の上にあるのは、きれいに磨きあげられた花瓶に生けられている一輪の花。
花瓶の水は濁りなく、マーガレットは可憐に花開いている。
それを注視する人物はなく、みんな当たり前のように思い思いのことをしているのが、むしろこのクラスの異常を物語っていた。
少女の硬直は解けない。目を見開いて、思考も停止している。
そんな彼女は、教室の戸が開けられた音に反応して、肩を震わせた。
すぐ近くにある横開きの戸から入ってきたのは、クラスメイトの男子だ。
怯えた瞳の少女と目が合って、それから少年は彼女の机の上を見た。
そして彼は────。
一つの教室で、少女は目の前の事象に硬直している。
机がある。彼女が普段使っている机だ。
その机の上にあるのは、きれいに磨きあげられた花瓶に生けられている一輪の花。
花瓶の水は濁りなく、マーガレットは可憐に花開いている。
それを注視する人物はなく、みんな当たり前のように思い思いのことをしているのが、むしろこのクラスの異常を物語っていた。
少女の硬直は解けない。目を見開いて、思考も停止している。
そんな彼女は、教室の戸が開けられた音に反応して、肩を震わせた。
すぐ近くにある横開きの戸から入ってきたのは、クラスメイトの男子だ。
怯えた瞳の少女と目が合って、それから少年は彼女の机の上を見た。
そして彼は────。
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