寂しがり屋の月兎
「小説好きってなんでわかったの?」

兎田と詳しく本の話をしたことはなかったはずだ。

「学校でたまに望ちゃん見かけたら、なにか書いてるか本読んでるかだったから。しかも本の表紙が一日二日で変わってたから、読書好きなのかと」

「なるほど……」

兎田の観察眼に驚いた。

「今日は店番してないのかな」

兎田が店の奥を覗き込むようにしている。

「店番?」

「俺のクラスに足立さんって女子がいるんだけど、ここその子の父親の店なんだって。放課後と、休日は足立さんが店番してるって言ってたんだけど」
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