寂しがり屋の月兎
「足立なら、俺に店番押しつけてどっか行きやがった」

「!?」

声がした方を振り向くと、不貞腐れた少年が立っている。

積み上げた本を抱え持っていて、重そうだ。

「あ、高木くん」

「どうも。あのあと変わりなく?」

「うん、おかげさまで」

あのあと?

望にはわからない話だったが、かつてなにやらあったらしい。

「足立さんいないのかあ。本、おすすめしてもらおうと思ったのに」

これにも望は首を傾げる。
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