寂しがり屋の月兎
そう言うと、兎田が嬉しそうに笑った。

言質をとった、とでも言いたげに目を細めている。

「じゃあ、今度また一緒に来ようね」

「えっ」

「高木くんのおすすめはある?」

さらりと流されて、望は一人で慌てている。

高木くんとやらを見ると、半眼で二人を傍観していた。

「おすすめねえ。俺の好みが全面に出ちゃうんだよなあ」

とかなんとか言いながらも数冊見繕ってくれた。

その中の一つに望は飛びつく。好きな作者だった。
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