寂しがり屋の月兎
さすが古書堂、この本はもう売っていない。
高木くんは少し嬉しそうにしている。
好きな本を好きになってくれる人がいると嬉しいのは、望にもわかる。
望はその本と、兎田もなにか古本を買って、足立古書堂をあとにした。
しばらくしてから、書店で一度離した手を兎田が自然に繋ぎ直して、望はまたどぎまぎする。
視線を上げると美貌の少年が満面の笑みを向けていて、すぐに空中に逃がした。
細く長い兎田の指に気を取られて、赤い顔を隠したがる望に気を取られて、二人は駅までの道のりを歩いた。
駅で合流した有明が突然に虫除けスプレーを兎田に噴射し、彼が寸前で躱したりしたのは余談である。
高木くんは少し嬉しそうにしている。
好きな本を好きになってくれる人がいると嬉しいのは、望にもわかる。
望はその本と、兎田もなにか古本を買って、足立古書堂をあとにした。
しばらくしてから、書店で一度離した手を兎田が自然に繋ぎ直して、望はまたどぎまぎする。
視線を上げると美貌の少年が満面の笑みを向けていて、すぐに空中に逃がした。
細く長い兎田の指に気を取られて、赤い顔を隠したがる望に気を取られて、二人は駅までの道のりを歩いた。
駅で合流した有明が突然に虫除けスプレーを兎田に噴射し、彼が寸前で躱したりしたのは余談である。