寂しがり屋の月兎
「ほんとだよ」

兎田の笑みは変わらない。

「漫画描いてるの?」

「なっ……!」

爆弾をひょいひょいと投げ込む兎田には、遠慮という考えがないのだろうか。

「あの、これ、あの……、誰にも言わないでもらえませんか……」

「うん。いいよ」

すんなりあっさり受け入れられて、望は虚をつかれた。

「俺はなんで隠すのかよく分かんないけど。めちゃくちゃ上手いし。でねえ、代わりと言っちゃなんだけど、一つお願い聞いてくれる?」

「おね……がい?」

こてんと首を傾げる望を、この上なく楽しそうに兎田は見つめ続ける。

「そう。あのねえ、俺の友だちになってほしいんだ」

「ともっ……だち……」

「うん。いいでしょう?」

「はっ……はい……。……?」

「やったー。決まりー」

ノートを握りしめている望の手に、兎田は他愛なく手を伸ばし、ひょいと取り上げた。

ノートが手から落ちた。

兎田の右手が望の左手を、左手で右手を、それぞれに指を絡めて握った。

「よろしくね」

「はい……よろしく……?」
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