寂しがり屋の月兎
長ったるくて無駄に疲れる終業式を終えると、クラスにはたちまち開放感が吹き抜ける。

友だちがいない望も、教室内の爽やかさを感じていた。

帰り支度をしているとスマホが着信を知らせた。

目を瞬いて確認すると、兎田からである。

差出人の名前を見て望はどきりとする。

──最近、兎田が絡むと胸がおかしい。

『来週末、予定ある?』

続けざまに送られてきたのはクエスチョンマークつきの兎のスタンプだ。

深呼吸してから文字を打つ。

『ないと思います』

『ほんと? じゃあ、花火大会行かない?』
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