寂しがり屋の月兎
デートだね、と送ろうか迷ってやめた。

当日会ったときに言うことにする。

にまにましていると三日月が問うてきた。

「なんで直接誘わなかったんだ?」

意外だ、という感情を視線に乗せている。

答えは簡単だ。兎田は笑う。

「こっちの方が断りやすいかと思って」

「断られたかったの?」

「まさか」

三日月の前では、ときどき黒い笑みが零れてしまう。

「こないだのデートで距離が縮まった気がしたんだよね。それを確かめようと思って。断りやすいのに断らなかったら、そう考えてもいいでしょ」
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