寂しがり屋の月兎
花火が始まるまでの時間、二人は屋台を巡り歩いた。

祭りではなく花火大会なので屋台の数は少なかったが、楽しむには十分だ。

焼きそばやわたあめを夕食代わりにして、今はりんご飴を舐めつつ海辺へ向かっている。

人がますます多くて窮屈だが、なんとか花火を見れる場所を確保した。

並んで立つと、兎田との距離が近くなる。

望の頭の横にあるのは兎田の肩だ。

繋いでいる腕は密着し、その感触に慣れない。

顔を俯けてひたすらりんご飴をかじる。
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