寂しがり屋の月兎
「ねえ」

兎田が耳元でささやく。

くすぐったくて少し肩が跳ねた。

「なに?」

「俺のこと、一人にしないでね」

甘えるように兎田が言う。

「俺、一人じゃ生きていけないから。望ちゃんがいないと、寂しくて死んじゃうの」

「……兎みたいだね」

小さく笑う。

「約束……する。兎田くんを一人にはしないって」

「ねえ」

「なに?」

「好き」

「……私も」
< 195 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop