寂しがり屋の月兎
ふふ、と笑う息が耳にかかる。

くすぐったい。胸がさざめく。

兎田が一旦体を離して、望の顔を覗き込んだ。

「朔って、呼んで」

甘える声と目に、どうにも望は弱い。

ふわふわした頭で呟く。

「朔……くん」

兎田がとろけるように笑う。

胸を甘く握られているような気分だ。
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