寂しがり屋の月兎
「後夜祭……行く?」

「んー……いいよ。いちゃいちゃしてたいけど、いつでもできるし」

二人は手を繋いで、誰もいない校内を歩く。

廊下を照らすのはほのかな月明かりだけだ。

窓の向こうに満月が浮かんでいる。

温かみのある黄金色。

望は満月と兎田とに見とれる。

前にも思った、兎田には月がよく似合う。

銀に冴える月もいいけれど、今日のような、温い金色の月のほうが、もっと兎田には似つかわしい。
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