寂しがり屋の月兎
あからさまに女の子を──ちなみに名前はまだ決まっていない──庇って犯人を呼ばわるのは、格好いいとは思えない。

無視をするのは論外、女の子を助けてあげてほしい。

無言で花瓶を取り去って、クラスメイトの視線を奪う?

なにか物足りない。

「……だーめだあ……」

頭を捻れど知恵を絞れど、いい案は浮かばない。

まとまらない頭と対照的に右手はスラスラと少女を描き出す。

日本人形のような黒髪で、まっすぐに切りそろえられている。

漫画のヒロインである。

無造作な茶髪の男子、手足が長く、かなり顔がいい。

少女と彼が恋に落ちるのだ。
< 4 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop