寂しがり屋の月兎
「私より、有明さんのほうがずっと綺麗だよ」

「望のほうが可愛いわよ」

だから、どうしていやそうなのだ。

「あの男に会わせたくないわ」

「…………」

そっぽを向いて有明は言う。

望はどうしたらいいか分からない。

「……いいえ。それじゃ、いきましょうか」

「う、うん」

二人は連れ立って、最寄り駅へと向かう。

今日は、望と兎田のデート、もとい、四人で映画を観に行く日である。
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