寂しがり屋の月兎

「いいか、お前ら。ただでさえ目立つんだから、あんまり変なことはするなよ」

「しないわよ」

「単独行動もしないこと。ふらふらどっか行かない」

「行かないよ」

「なにより、玉川さんを困らせない」

「困らせたりなんてしないわよ」

「困らせたりなんてしないよ」

「不安だが仕方ない」

なにか言い返している美人二人を放置して、三日月は歩き出す。

「とっとと来い。上映時間に間に合わなくなるぞ」

三日月の後を追い、望は両脇に美人を従えて雑踏を進んだ。