寂しがり屋の月兎
予定の映画はたいそう素晴らしかった。

原作の雰囲気が色濃く残っていて、大事に作ってくれたことが分かる。

モノクロのページで動いていた登場人物たちが、生きてそこにいて笑いあっている。

望はご満悦で、他の反応も悪くなかった。

三日月など、兎田に小説を借りる約束を取りつけていたほどだ。

巻き込んでしまった罪悪感があったので、望は内心ほっとしている。

そんな話を三日月としていると、いつの間にか見目麗しい二人が消えていた。

「あいつら……」
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