ヒロインvs悪役
「ね、ねえ紘」

「ん?どうした~」

「紘ってさ、…その、好きな人とか…いたりする?」



たったこれだけのことを聞くのに、顔がどんどん熱くなる。

鼓動がどんどん速くなる。



「…んー、秘密」

「な、何それ!教えてくれたっていいじゃん」

「やーだよ。…それともなに、そんなに俺のことが気になる?」


「ち、がうし!!」

「ははっ、可愛いな。翼は」




な、…!
またそうやって思ってもないことをサラッと…!

人の気も知らないで、



紘がなにも考えず言ってることはわかってるのに、心の奥では紘の言葉に喜んでる自分がいる。



ダメだ、紘のペースに飲まれちゃダメだ。





「まあ、強いて言うなら、ずっと仲良くしていられる人を好きになるな、俺だったら」






一番星を見上げながらそうポツリと呟いた紘。



私にはそう言った紘の心理を読み取ることは出来なかった。

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