ヒロインvs悪役
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「あ!やっと帰ってきた!紘くんとは会えた?」

教室に戻ると、一目散に私の元へ来た沙羅。

そっか、紘に私のことを伝えてくれたのは沙羅だったんだ。



「うん。会えたよ」



「そっか!よかった。
…ねえ翼、本当は何かあったんでしょう?」





いつになく真剣な沙羅の瞳。

その霞のない漆黒の瞳に、嘘なんてつけるわけがなくて




「…聞いてくれる?」

話そう、応援してくれてる沙羅にはちゃんと。


「当たり前でしょ」










「なるほどね。その刃物みたいな言葉は狙って言ってるのか、素で言ってるのか、わからないわね。
まあ、どっちにしろタチ悪いんだけど」




一通り話し終えての沙羅の感想が率直すぎて、少し笑ってしまった。


「それでさ、もうメイクやめようかな、と「ダメよ!!」

私が言い終わる前に沙羅のストップがかかる。

「え」

あまりの気迫にただただ驚いていると






「今やめたら絶対後悔するよ。これは断言するわ。それに紘くんに可愛いって思ってもらいたいんでしょ?告白したいんでしょ?
だったら自分磨きを怠らないで。紘くんに失礼よ」


さらに続けて沙羅は言う。



「いい?これからは佐藤さんの言葉じゃなくて、私や周りの友達の言葉を信じて。

女子はね、自分が不利になると感じたら容赦なく嘘なんてつけるものなの。
佐藤さんに何を言われても、その言葉を鵜呑みにしちゃダメ。わかった?」




「わ、わかった」




でも、よくよく考えればそうだ。

今までずっと一緒にいた沙羅が、メイクした私を可愛いと言ってくれたのに、佐藤さんの言葉で弱気になるなんて。




佐藤さんが嘘をついているとは限らないけれど、今は沙羅の言葉を信じて自分磨きを頑張ろう。
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