ヒロインvs悪役

次の日から放課後、私は一人で帰るようになった。



「光くんっていい匂いする!」


竹平さんは光の自転車の後ろで幸せそうに笑ってる。


光が今どんな顔してるのかはわからない。

.....見たくないもの。


2人から目を背けようとした、その時。



「きゃっ」


可愛らしい声をあげた竹平さんが、光の背中に抱きついた。




この前までは、そこは私の場所だったのに。


光の背中に抱きつけるのは私だけだったはずなのに。



その特権はいとも簡単に奪われてしまった。




......一人で帰る道はいつもより遠く、暗く、静かに感じた。

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