ヒロインvs悪役
次の日の朝また龍を見つけて声をかけようとした。
でも、龍の隣には佐田さんがいて私はただ立ち尽くすことしか出来なかった。
…昨日に続いて今日まで…。
なんで、なんでよ…。
龍は私のなのに。
ギュッと唇を噛み締めると血の味が口の中に広がっていく。
龍は私より佐田さんのほうがいいの?
どうしよう、涙が止まらない。
「うっ、…っ」
佐田さんだって、龍にばかり話しかけて。
「あれ?姫ちゃん、泣いてるじゃん」
後ろを振り向くと、毎朝挨拶してくれる男子達が立っていた。
「何で泣いてるの?大丈夫?」
「姫ちゃん泣き顔も可愛い~」
私の周りを囲む男子達。
「大丈夫だよ…!」
慌てて涙を拭いて笑顔を見せる。
心配かけちゃダメだ。しっかりしなきゃ。
「でも心配だな~。学校まで一緒に行くよ?」
「え、大丈夫だよ!」
「遠慮しなくていいから!ほら行こう!」
「…えっと、うん。ありがとう」
断りきれなくて、男子達と登校することに。
学校に着くと聞こえたきたのはひそひそ声。
それは多分私に向けられたもので
「…また男に媚びうってるよ」
「…ホントだ。マジウケる」
…違うのに。媚びなんかうってないのに。
そう言いたいけど言える勇気なんてなくて、私はただ下を向いて靴箱へ向かった。
とその時
「こそこそ言ってねぇで堂々と言えよ。こっちまで気分悪くなる」