ヒロインvs悪役
「あのね、佐田さんが「なにお前、誰」
「え?…龍?」
「おい京香。なんなんだよ、こいつ」
「多分さ、この前龍が言ってた子だと思うよ。
知らないやつにやたらと話しかけられるって言ってたじゃん」
「あー、言われてみれば。こいつだった気がする」
「ここでちゃんと言っておいたほうがいいんじゃない?」
「そうだな」
目の前でどんどん進んでいく話。
なに、これ。
なにこれ。
龍が私の方を向く。
目があう。冷たいその漆黒の瞳の中には私がいる。
「あのさー、よくわかんねーけど俺は京香と付き合ってるから、あんま話しかけないでくんない?
…おい京香、行くぞ」
「うん」
二人が遠ざかっていく。
「ま、待って!!」
慌てて叫ぶと二人は嫌なものを見るような目で私を見た。
な、んで?
「…龍と私は、付き合っているんじゃなかったの?」
いやだ、いやだ。