ヒロインvs悪役
「はいよ」

少し経ってから紘がアイスを持って席に来た。





「ありがとう!いくらだった?」

「ん?あぁ、奢り奢り」

「でも、悪いし払うよ」

「俺とお前の仲だろ、遠慮すんなって」

「あ…うん。ありがとね」
紘は昔から優しかった。





どこか食べ行く時は必ずといっていいほど紘が支払いをしてくれる。私がどんなに返すといっても紘は一切受け取らなかった。

先生に雑用を頼まれて放課後残ってやっていたら手伝ってくれたこともある。

男子に男っぽい所をからかわれた時も、庇ってくれた。

テストで赤点取りそうになった時も、つきっきりで勉強を教えてくれた。






でも、それは私と紘が幼なじみだからであって。
私は紘の特別な存在ではない。



『俺とお前の仲だろ』


紘が言っていた通り、私達はただの幼なじみ。




…わかってる。わかってるよ。

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