ヒロインvs悪役

お昼休みが終わって、何事もなく午後の授業も終えて帰ろうと廊下を歩いていると

あ、あの人だ…

屋上であった彼が前から歩いてきた。

できるだけ目を合わせないように、下を向きながら歩く。

ドキドキしながら彼が隣を通ったのを確認して、顔を上げた。



何も言われなかったことに安堵して息を吐いた。

靴箱に行くと、同じクラスの女の子達がいて
あまり話したことはなかったけれど


「あ、…ばいばい!」


勇気を出して言ってみた。


「え?…あ、姫ちゃん」

「ば、いば~い」



みんなぎこちないけど挨拶を返してくれてホッとした。

…仲良くなりたいなあ。



でも、靴を履き替えようとした時




「ぶりっこちゃんばいばーい」



低く敵意のある声がして身体が固まった。

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