ヒロインvs悪役
…大丈夫。慣れてるよ。大丈夫。


「ちょ、やめなよ」
「そうだよ」


その子の周りにいた女の子達が止めてくれるのを横目で見て、早足で校舎を出た。



…いつものこと。大丈夫。

大丈夫だよ。平気。







平気。







「何で言い返さないの?馬鹿なの?」




唐突に聞こえた、聞き覚えのある声に反応して後ろを向く。


そこにいたのは屋上の彼で。



…見られてたんだ。

やだな、



「そんな事しても解決しないもの」


「何それ。我慢する自分素敵とか思ってる?
自分の気持ちを言わないのは、ただの逃げだよ」





「逃げ?…私は、逃げてなんかない!」


「そうそう。そうやって言えばいいんだよ。
あと、周りをよく見なよ。思い込みは自分を滅ぼすよ」


それだけ、たったそれだけの意味深な言葉を残し、歩いて行ってしまった彼。




…なに、なんなの?


思い込み?

周りを見な?


逃げてる?


ーーーーー…私が?



どういうことなの。
また私は何かしてしまったの?

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