隣の白咲くん。
俺が学校内で苗字呼びではなく“黒美”と呼ぶのもアピールの一つだ。
普通に“黒沼”だと周りと何ら変わらないし。
俺は美影の特別じゃなきゃ嫌だから。
「特別だと思うならさっさと告ればいいのに何モタモタしてんだよ」
「いいのか?今告ったらビックリしすぎてアイツの心臓止まると思うけど」
「それはマズイ。慎重に行け」
俺が美影に想いを寄せてることなんて、学校中の誰もが知ってる。
女に告られても、俺は黒沼 美影が好きってハッキリ言うんだから当然といえば当然か。
昔から美影一筋で生きてきた。
黒々しい名前とは反対に美影は限りなく純白で、他の女が霞んで見えるほど。
早く俺のものにしたいけど、純粋なアイツに告白なんかしたら本気で死なれそうな気がする。
というわけで、毎日行なっているパシリは少しずつ距離を縮めるための作戦だ。
失敗すれば二人きりの密室で美影の手料理が食べれるという暗黙のルールまでいつのまにか出来ていて、嬉しすぎてこっちのが死にそうになってるのはここだけの話。
さて、今日は頼んだものをちゃんと買ってこれるのか。
寧ろ失敗してくれ、と願う。