隣の白咲くん。

「ほら」

「…へ?」


口が小さい美影のためにと、たまごサンドを一口サイズに千切って口元に持っていく。

美影は予想外と言いたげな表情をしているけど、こっちとしては予想通りの反応だ。



「さっさと口開けろよ」

「で、でも…」

「俺の言うこと聞けないのか?」

「うっ…」



躊躇いながらも小さな口を精一杯開ける美影に、たまごサンドを突っ込んだ。

必死にモグモグ頬張る姿が可愛くて眩暈がする。

たまごサンドになりたいとか訳の分からないことを本気で思ったのは、これが生まれて初めてかもしれない。



「まだ食う?」

「も、もう結構ですっ…」

「腹減ってんじゃねーの?」

「だって、なんだか胸がいっぱいで…」



黒い名前をした真っ白なお前が顔を赤らめるから、白い名前をした真っ黒な俺はまた意地悪したくなる。

縮まらない距離はもどかしくて、でも楽しい。


「食ったら今日も添い寝な」

「本当に勘弁してください…ドキドキして死にそうになりますから…」



まだまだだろ?

いつかこの想いを伝える日まで、ドキドキに慣れておいてもらわないといけないんだから。



「明日は幻のメロンパンにすっかなー」

「あ、あれはすごく人気で秒殺との噂が…」

「もし失敗したら明日も来いよ?」

「うっ…笑顔が真っ黒で怖いです…」



隣の白咲くん。/ fin.

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