隣の白咲くん。
「おばちゃん、カツサンド!」
「あたしはクリームパン!」
お昼休みの購買は正に戦場です。
生まれながらに背が低いのは仕方がないとして、地味で目立たない私はすぐに人の波に飲まれてしまいます。
よって目的のものに辿りつくまでに、いつも人の倍以上時間が掛かるのです。
「あ…あの…私は焼きそばパ、」
「焼きそばパンくださーい!」
「はいよー。今ので焼きそばパン完売ね~」
「そんな…」
やっと一番前まで行けたと安堵するも、ボソボソ呟くような私の声は一瞬で他の人に掻き消されました。
「そこのおねーちゃんは何にする?」
「えっと…コ、コロッケパンを…一つ」
「はいよー」
こうして今日もまた、頼まれたものとは違うパンを抱えて白咲くんの元へと急ぐことになりそうです。