隣の白咲くん。



ここは二階にある白咲くんのお部屋です。

ノックをして入れば、不機嫌そうな顔の白咲くんにジロリと睨まれました。


「遅い」

「すみませ…家事と宿題してて」

「ったく、腹減ってんだから待たせんなよ」



私は慌てて手に持っていたトレイを差し出します。



「あの…これ、焼きそば、です」

「ん」


これです。白咲くんがソワソワしていた理由。
焼きそばが食べたくて仕方がなかったのでしょう。
早速、夢中で頬張っています。



「どう、ですか…?」

「…うまい」



念願の焼きそばを食べることができたからか、白咲くんのご機嫌は上々のようです。

良かった…



「今日は焼きそばパン買えなくて…ごめんなさい」

「いーよ、もう。お前のトロさなんて百も承知だし」



頼まれたものを買ってこれなかった日は、ペナルティとして夕飯を作ることがいつの間にか暗黙のルールになっていました。

例えばカツサンドが買えなかった日はトンカツで、
カレーパンが買えなかった日はカレー。

心が広い白咲くんは、毎回それで私の失敗を許してくれます。
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