キミの運命の人は俺じゃない
「手、出して。」

佐久間先生が傷に巻き付けたカーディガンをそっとはずす。

肘から下、15センチほど手首にむかいパックリひらく傷が見えて思わず顔を背ける。
「…縫うぞ。麻酔するからな。」

ひんやりとしたアルコールが腕にふれる。
顔を背けたままの私の頬に大きな手が触れた。
「悪いな、痛いだろうが麻酔が効くまで我慢してくれ」

端正な彼の顔を思わずじっと見つめる。
「なに?
…そんなに見つめられるとやりづらいんだけど」

あぁこの声、この手、、、意地悪な口調、間違いなくあの夜の相手だ。

白衣姿の彼に見惚れていた自分に気付き、あわてて目をそらした。
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