キミの運命の人は俺じゃない
「おい!湊」

会場をでようとしていた私たちを背後から呼び止める声がした。

振り向くと晒名が立っていた。晒名はチラリと私の腰にまわされた手に視線を向けた。


「湊、悪かったな。緊急オペだったんだって?」

「あぁ、貸しにするつもりだったが……帳消しだ」

「おい、湊!」
晒名が眉間にシワを寄せチラリと私を見た。


「亜沙美、いいのか?」
私は小さくうなずいた。

はぁとため息をつくと
「ならいい。
湊、帰る前にちょっといいか?」

晒名は佐久間にこそりと私に聞こえないように耳打ちした。

「あぁ、わかってる」

佐久間の返事だけが耳にはいる。
チラリと彼の顔を見上げると、口角をあげて妖艶に微笑んでいた。

< 4 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop