キミの運命の人は俺じゃない
「私も、、、、、、

あんたたちみたいにたった一人の運命の人にであいたーい!!

はじめてのチュウもぉ、はじめての男もたった一人の運命の人だけでいい」

顔立ちがはっきりした美人の部類にはいる目の前の女は、ハタチ過ぎのくせに純粋な夢見る乙女そのものの発言で俺は思わず吹き出した。

「おもしれー女」

瞼が閉じかかって今にも寝そうな彼女に話しかける。

「なぁ、男は生涯一人だけでいいって言ってるけどそいつが下手くそだったらどうすんだよ。」

「ん?
下手くそ?そんなの一人だけだから比べようがないじゃない?
いいの。
下手くそだって。
一緒にせいちょーすればいいんだから」

ふにゃふにゃと眠りについた彼女がやけに可愛く見えた。

「はぁ。寝ちゃったよ。
送っていくから悪いけど先にかえるな」

虎太朗はタクシーに彼女を押し込み一足先に退散した。

この虎太朗の行動は後々彼女の恋愛の足を引っ張った。

可哀想に虎太朗にお持ち帰りされた女と噂され、お一人様で卒業まで過ごしたのだ。

これが俺と亜沙美のはじめての出会いだか、酔っていた彼女は当然記憶になど残っていない。
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