キミの運命の人は俺じゃない
用もないのに、彼女の顔が見たくてちょくちょく口腔外科に足を運んだ。

廊下をウロウロしてチラチラなかの様子を伺い見る俺はかなりの不審者だ。

彼女の勤務シフトを入手して出勤時間にスタッフの出入り口をうろついたり、食堂で声をかけて相席しようと足を運べば、いつもナースたちと楽しそうに食事をしていて割り込むことができない。


「一緒に食事でもいかないか?」

そんな簡単な一言すら言えない自分のヘタレ具合に自分でも呆れるほどだ。
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