キミの運命の人は俺じゃない
「佐久間先生、話があるんだが時間いいかな?」

部長に呼ばれたのは、いつものように口腔外科の前をうろつき、スタッフルームからでてきた彼女が「お疲れ様です」
と目があった俺に笑顔で会釈してくれて上機嫌で外科に戻った時だった。


部長室には、白衣姿の白髪混じりの見覚えのない医師がすでにソファーにすわりくつろいでいた。

「あぁ佐久間先生、お疲れ様。
忙しいところお呼び立てして悪かったね」

「いえ、お疲れ様です」

見覚えのない年配の医師は、口腔外科部長の田島だと名乗った。

口腔外科部長の突然の呼び出しに、ついに俺の不審なうろつき行為が咎められるのかと嫌な汗が背中を伝った。
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