今宵、貴女の指にキスをする。
「この事務所で、三人で打ち合わせすることがありますよね」
「ええ」
「そのときの私の気持ち、木佐先生は知っています?」
どういうことだろう。円香は分からなくて眉を顰める。
すると、七原は「やっぱりか!」と呆れながら口を尖らせた。
「二人でラブラブオーラ炸裂で、私の居場所はないんですよ!」
「!」
だから、さっさと帰ることが多いんです。と、面白くなさげに七原は言う。
確かに相宮のことが好きだ。だから、そういう目で相宮のことを見ていると指摘されても仕方がないだろう。
だけど、相宮は違う。円香は首を横に振った。
「七原さん。正直なところ……確かに私は相宮さんのこと男性として好きです」
「ほら、やっぱり!」
手を叩いて喜ぶ七原に、円香は慌てて訂正した。