今宵、貴女の指にキスをする。

 ブックデザイナーとは所謂“装丁家”で、出版される本の外装をデザインする人をいう。

 相宮は外装のデザインだけではなく、帯やブックカバーなども手がけていて本の装丁を一手に担っている強者である。

 彼がデザインする本はどれも個性的、かつ斬新だ。
 そして本の内容とリンクさせるのがうまい。

 何より本屋の店先に陳列させたとき、思わず消費者が手に取りたくなる、気になるような装丁に仕上げる腕をもっている。
 だからこそ、出版社や作家たちからの絶大な支持を集めているブックデザイナーなのだ。

 相宮は元々デザイン事務所勤めだったが、三十歳のときに独立をし、今はフリーランスで仕事を引き受けているらしい。
 今やひっぱりだこのブックデザイナーで、大御所作家は誰先と彼を指名するというのだからスゴイ。

 そんなスゴイ人なのだが、ポッと出である円香作品を手がけてくれている。
 それはデビュー作からずっと、だ。
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