今宵、貴女の指にキスをする。
「安心しろ、木佐ちゃん」
「ふぇ?」
「それ以外にも、きちんと成長したところもあるから」
「?」
どこだろうか、と小首を傾げると堂上は腰を屈めて円香の耳元で囁いた。
「いい女になったよ。俺が口説きたくなるぐらいにな」
「っ!」
「色っぽくなったしな……今日はこのまま京都に泊まるか」
とんでもないことを言い出した堂上に、円香は慌てて離れた。
油断大敵。やっぱり堂上は堂上だった。
「セクハラですよ。七原さんに言いつけます」
キッと視線を鋭くさせると、堂上は楽しげに声を出して笑う。